東京高等裁判所 昭和25年(う)3534号 判決 1951年4月21日
控訴人 被告人 有賀友司
弁護人 池田九郎
検察官 渡辺要関与
主文
本件控訴はこれを棄却する。
理由
弁護人池田九郎の控訴趣意は同人作成名義の控訴趣意書と題する末尾添附の書面記載の通りである。これに対し、当裁判所は左の通り判断する。
弁護人の控訴趣意について、
一、本件審判を請求した事件は、起訴状記載の事実並びにその後第六回公判廷において追加された事実であるが、原審は審理の結果右起訴事実の範囲内に於て被害額を所論のように起訴状記載の額より少く認定したに止まる。即ち起訴にかかる事実と同一性を有する事実について原判決は事実を認定しているのであるから所謂審判の請求を受けた事件について判決をしないという違法ありとは認められないし、且つかような主張は被告人にとつて寧ろ不利益な主張でもある。いずれにしても所論は理由がない。
(裁判長判事 吉田常次郎 判事 石井文治 判事 鈴木勇)
弁護人の控訴趣意
本件控訴事件に於ける公訴の詐欺事件の被害は二万六千九百十四円〇一銭であるが判決に於ける被害は二万六千三百九十九円五十五銭となつて居り差額五百十四円四十六銭に付て判決を為さざるものであります之れ即ち審判の請求を受けた事件について判決を為さないものであります(刑訴法第三七八条第三号)